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  • 執筆者の写真籠師会

伊豆大島釣行 2日目 ~魚の所有権~





昨夜大物を釣り上げ見事その日のMVPに輝いたミヤナガ氏を帰りのジェット船発着地である岡田港の新待合所へ見送りにいったのは午前10時を過ぎた頃である。





自分とOKN氏を残し勝ち逃げ状態で伊豆大島を後にした彼は有無を言わさず例のカサゴをクーラーボックスに入れ持ち帰っていった。


よくよく考えればカサゴの所有権については議論の余地が残されていたはずだが・・・


最終的に竿を持っていた人間がその魚の所有権を有することになるのだろうか。


仕掛けを作り、投入したのはまぎれもない“わたし”なのだが、運よくその竿を手にしたためにあげた魚の所有権がその人間にうつることは法律的にどのような見解を取るべきか・・・


ここは間を取って身を半分づつ分けるのが和解案ではないだろうかとも思ったのだが、彼はそういった話し合いなど気にかける素振りすら見せず、ごく自然な流れでクーラーボックスに魚を移していた。


まぁでもよくよく考えれば貸竿で釣った魚の所有権が竿を貸した側にあるはずもなく、釣り上げたのはミヤナガ氏であって魚の所有権は彼で間違いなかったのだろう。


しかしこういう場合は、なんていうかこうもっと厳かに、密やかに、謙虚な気持ちで魚をクーラーボックスに移すのが正解だったのではないだろうか。


すみませんね、いやぁ・・・申し訳ない、へっへっへ、なんて言いながら照れくさそうに魚を移していたらわざわざ魚の所有権について言及する必要なんてないのだ。


まぁ彼を見送ってしまってからでは後の祭りなんだけど。




残されたわたしとOKN氏はこの日を含め残り2日であのカサゴ以上の釣果を残さねば残っている意味を失ってしまう状態であったが、この後の予定について何も考えていなかった。





意味も無く“あんこ猫”と2ショットを撮るOKN氏。


この後の予定について皆目見当がつかないとこのような気の紛らわしで暇を弄ぶしかないのである。


とりあえず餌の調達へ丸一に向かえば何かヒントが得られるかもしれない。


わたしはマダイを目標に遠征に来ていたのではなかったか・・・ここは初心にかえって新たな気持でマダイと向き合わなければ。


ヒントを得るべく丸一へ向かったが特にマダイのヒントとなる手掛かりは全くつかめなかったのが痛恨の極み。


岡田へ戻る最中シャロン洋菓子店でピザを注文し昼食とした。





伊豆大島でピザ!?と思うかもしれないが、これがなかなか、いやなかなかいいんですね。


ピザの味をかみしめながら、これからどこのポイントに行こうかなんてはなしていたものの決定的な決め手になるようなものがなく、とりあえず風が穏やかな海のふるさと村の堤防に向かうこととなった。


すでに時間は12時を回り、昼寝まっしぐらコースだったが眠気を奪うかのような急な勾配とハイカーブを曲がり海にふるさと村へと続く一本道を降った。


風はあるが、波はそこまで高くなく堤防の奥の磯で釣りができそうな気配だ。


良い感じにさらしが出ていて、もう釣りはじめる前からマダイが出そうな予感に胸を膨らませつつ駐車場から背負子を背負い磯場に向かった。





気配というものはえてして裏切られるものだが、このさらしを見て竿を出さない釣り人は恐らくいないだろうな。





OKN氏は堤防から真っすぐの突き当りのポイントでさらしのグレ狙い、わたしは更に右奥で沖を狙いマダイを狙うこととした。





タックルは前日と同じく


宇崎日新 INGRAM BLACK EDITION 4-550とAbu BigShooterの組み合わせである。


70~80m付近を狙いオキアミを打ち魚を寄せ始めた。


このロケーションだったら5投ほどすればウキがスッと沈んでくれるだろうと、いつもの経験的観測に基づく安易な予測を立てていたのだがなかなかウキが沈まない。


竿2本では底がつくようなウキの動きだったので1.5本ほどで流していたが、どうやら沖に離れ磯が点在しているようで根がかりが連発してしまった。


複雑な地形なのか棚が安定せずカゴ釣りには厳しい場所なのかもしれない。


その後も連投して仕掛けを投入するがウキが沈む気配はなかった。


フカセタックルのOKN氏は足裏サイズのメジナをポツポツあげているようだったが型が上がってこないようだった。


どうにもウキが沈まず、わたしはこのポイントを諦め堤防の先端に移動し沖合いの深い棚を狙うべく100mの遠投に勤しみ始めた。


何投か遠投しているとようやくスーッとウキが海中に引き込まれた。


それなりの重さをたずさえてあがってきたのは30cmオーバーサイズの型の良いメジナだったがキープするにはもう一歩及ばないサイズだ。





その後もウキはコンスタントに沈むがこのサイズのグレばかりで釣り上げてはリリースという作業的要素の強い釣りとなってしまった。


OKN氏のフカセタックルにもほぼこのサイズのグレがまとわりついていた。


倦怠感が漂い始め、それに追い打ちをかけるようにすさまじい強風が山肌から吹き荒れ始めた。


竿が風で煽られ飛ばされそうな勢いだったため、これ以上は釣りのできない状態と判断し止む無く納竿という流れになった。


止む無くというか、もうほとんど釣果が望めないだろうという諦めに似た感覚もあったし、なにより前日の朝~夜までノンストップ状態で釣りをしていた疲れがたまっていたという部分も大きかったかもしれない。


結局海のふるさと村でキープできる釣果はあげることができなかった。


疲労と渋い釣果が重なり、我々は無言で車に乗り込みしばし棒立ち状態だった。




そんな中こんな渋い状態であることもつゆしらず、自宅に戻ったミヤナガ氏から一枚の写真が送られてきた。





所有権についてアレコレ言及していた例のカサゴが見事に捌かれまな板にのっている写真である。


なんの変哲もない魚の写真だが、我々にとってこの写真がどれほど煮え湯を飲まされる写真であったか彼が知る由はないだろう。


くっそ・・・・


何度も言うけど仕掛け作ったの俺だから。




さて、我々は八幡荘に戻りたった一枚の写真による精神的な苦痛と疲労でバタッと倒れるように横になってしまった。


八幡荘の女将さんの夕飯の合図で目が覚め、多少気が晴れていたとはいえ重い鈍痛のような頭痛があり、カサゴの写真が頭の中でバチバチとフラッシュライトをたいたかのように瞬時に明暗していた。


重い・・・・・カサゴの重みが頭にのしかかっている。


夕飯を食べながら、夜釣りのポイントに頭を巡らせていたがプレッシャーに押しつぶされてなかなか定まらない。


風もいよいよ勢いを増し、今日はここまでかなんて思いもあったが、プレッシャーに背中を押されるように車に乗り、重いあしどりでとりあえず風裏であるはずの波浮港に向かった。


岡田から島を半周し波浮へたどり着いたが、横風が吹き荒れカゴ釣りどころではなさそうな状態だ。


堤防の先端で帰り支度をしている釣り人がいたので状況を伺ってみると、どうやらサバが回遊しているらしく、サバの釣果しか出ていないようだった。


竿を出す気力もなく、波浮をあとにしたがもはやポイントは残されていない。


風裏を目指し波浮港に向かって失敗した時のお決まりの島一周ツアーコースだな・・・・


カキハラを横目に一周コースをのぼりはじめ再度岡田を目指した。


帰りの道中で、OKN氏との協議の結果本日この強風の中で無理に釣りをするメリットはなく、翌朝時間を早め地磯で本日のリベンジを行おうという結果に至った。


釣りを諦めた我々の心持は実にスッキリと澄み渡っていたと言っていい。


なんだこのすがすがしい爽快な気分は。


カサゴによる重みはすっかりと消え去り、翌日に向けてリベンジに燃える意気込みへと姿を変えてしまった。


さて、こんな意気込みにカツを入れるべく伊豆大島屈指の超絶パワースポットに寄ってパワーをいただいてから宿に戻ろうではないか。


そして我々は岡田へ戻る道中、泉津にあるパワースポットに寄ったのだが、その時のことは“番外編”として後で書き記そうと思う。


カサゴの所有権についてはっきりさせなかったのが本日の最たる反省点だったことに異論はないのだが、結果それがこのパワースポットに引き寄せられた要因になったことは何を意味するのだろうか。


はてさて我々は翌朝のリベンジに向けて夜も浅い時間に床に就き、体力のリセットを図った。


夢にカサゴが出てきませんように。







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