伊豆半島の沖磯情報を目にしていた時に、下田にある“横根”というシマアジの良場を知り、居ても立っても居られないという状態が続いていたのだが、運よく週末に予定を組むことが出来たためOKN氏と共に下田へ向かうはこびとなった。
“横根”の予定が“大根”へと変更されたのは完全に確認不足によるものだったのだが・・・
OKN氏を車でピックアップし、東名沼津から136号~414号線をひたすら南下すること3時間。
渡船の待機場所である手石港に着いたのは昼の13時を回った頃。
先月発売の籠師会Tシャツを着るワタシ。
5月とは思えない猛暑日よりで、車から出た瞬間ムッと肌にまとわりつくような熱気が襲ってきた。
昼から沖磯に渡り、夜釣りをして翌朝早朝に戻るというシステムだが、この暑さでは昼乗り切られるかどうか思いやられる。
渡船の発着地に荷物をまとめ渡船を待つ。
オキアミの3kg板とバラオキアミ2kgに集魚剤が入り、バッカンはかなりの重量になっていた。
しかし3kg板を3枚と集魚剤(大)を2袋も積んでいたOKN氏のバッカンはもはや人力で動かすには気が引けるような重量になっていた。
フカセに比べて遠投カゴ釣りは実にエコで低燃費な釣りなのだ。
しばらくすると船長が運転する渡船(ひがし丸)が発着地に現れた。
そそくさと船に荷物を積み、我々も船に乗り込んだ。
雰囲気で勝手に作った昭和レコード風のジャケ写です。
(注):“加山雄三”ではありません。曲も出していません。
我々は船に乗り込み“横根”に向かう気でいたのだが、夜釣りでの渡船は危険なため渡していないということをここで聞かされることになった。
全くの確認不足だったのだが、予約したのはOKN氏だった気がする・・・
我々は渋々釣果の望める“大根”という沖磯に渡ることにした。
横根ではなく大根に向かうOKN氏の背中は哀愁に満ちている。
30分ほど走ると、沖磯の大根が姿を現した。
想像していたより大きい磯場で、近くまでくるとなかなか迫力がある。
帰りを待つ先客の釣り人が着地に荷物をまとめているのが見える。
船が磯に着くと、先客の釣り人がリレーして荷物を降ろしてくれたためスムーズに渡礁することができた。
大根の地は全体的に大小ゴツゴツした岩が突出しており、平らなポイントがなく足場がよろしくない。
足の裏は健康サンダルを常に履かされているような状態で、踏みどころによっては激痛が走る。
ポイントは沖合いを向いた方角で、水深は手前から10m近くあるとのこと。
遠くに伊豆諸島を眺めながらというロケーションで我々は釣りの準備を開始した。
タックルは
INGRAM BLACK EDITION 4-550 両軸
ABU BIG SHOOTER WM60
12号のカゴを用いた中距離の遠投カゴタックル
仕掛けを投げる際に垂らしたハリスが岩に引っかかって遠投しずらい磯のため、ハリスは2ヒロと短めに設定した。
それにしてもハリスを垂らせないと力が入らず遠投しづらい上にキャストタイミングをミスりバックラの恐怖が・・・
そんな不安にかられつつ1投するとものの見事にバックラしてしまった。
バックラした道糸をほどいていると南側でフカセをやっていたOKN氏が1投目でメジナをあげた。
船長いわくメジナはあまり釣れないとのことだったが、早々にして船長を裏切ったOKN氏には好調の兆しが見えた。
負けじとワタシも仕掛けを流しはじめた。
付け餌が取られだしたので棚を浅く設定していると、OKN氏が幸先よくイサキをあげはじめた。
旬のイサキは磯に接岸してくるためフカセでもイサキがポンポン上がるらしく、イサキが連チャンしはじめた。
するとワタシのウキにも反応が出始めイサキが釣れ始めた。
コンスタントにイサキの反応があるが、伊豆大島のような40cmクラスのイサキではなく20~30cmの小型のイサキがメインのようだ。
小型のイサキはリリースし型の良いイサキだけキープしているとみるみるうちにクーラーボックスはイサキで埋まり始めた。
そんな中OKN氏の磯竿が突如としてグーンと曲がり、明らかにイサキとは違う強烈な引きを見せた。
それを見たワタシは一時的にカゴ釣りを停止しOKN氏のファイトを見物した。
レバーブレーキと竿で魚の突進を食い止めるが沖に魚が走り、ハリスが伸ばされる。
竿で魚を反転させるべく強引にあおるも、魚のパワーに耐え切れずハリスが切れてしまったようだ。
マダイ、いやシマアジだったのではないかという妄想が膨らむも姿が見えなくては何とでも言えてしまう。
しかし、時間を置かずしてすぐにOKN氏の竿に再度同じようなアタリが出たのでワタシはカゴ釣りを再開する間もなくまたOKN氏のファイトを見守る形となってしまった。
先ほどのような腰が折れるような引きではないが、竿の曲がり具合はなかなか良い感じである。
丁寧に竿を捌いていくと魚体が姿を現しはじめた。
マダイかシマアジを期待していただけに、その落胆ぶりは尋常ではなかった。
ニザダイ(サンノジ)かぁ・・・・
表情に悔しさがにじみ出ている。
じゃ、さっきのも大きいサンノジだったのかもしれないなぁ・・・・
到着から日の入りまではそんなこんなでイサキが良く釣れたが、最初のグレと途中のサンノジを残し後の釣果は全てイサキだった。
伊豆半島に日が沈みはじめる。
あたりが暗くなりはじめ、電気ウキに変えるころ合いになると、フカセにはいよいよイサキが入れ食いになりはじめた。
クーラーボックスとポイントの間を行ったり来たりしているOKN氏の様子をみると恐らく海の中はコマセに群がるイサキが付け餌の投入を今か今かと待ちわびているといった様子。
ワタシのカゴ釣りにもそれなりにアタリがあるが、どうやらイサキはかなり表層まであがって餌をとっているようだ。
マダイを狙い深い棚に設定してるワタシの仕掛けにはポツポツという感じでアタリが見られた。
完全に陽が沈み辺りが真っ暗になったころ合いで我々はコンビニで調達した夕飯をとることにした。
岩壁に設置された照明は今回わたしが持ち込んだ最新の夜釣り向けツールである。
写真では暗く映るが実際はまぶしいくらい明るい。
別に最新でも何でもないのだが、熱帯魚の照明用LEDバーにモバイルバッテリー(超大容量25000mAh)を接続したものである。
軽量で持ち運びに便利(ロッドケースに入る)なうえ、LEDランタンやフラッシュライトよりも広範囲にフラットな光を拡散でき、USB接続で大容量のモバイルバッテリーに接続できるのでかなり長時間持つというのがウリ。
光量を最大にすれば消費電力こそ増えるものの、磯場全体が明るくなりヘッドライトをしなくても十分釣りができる釣り場へと姿を変える。
磯場や街頭のない釣り場で夜釣りをする際にロッドケースに積んでおけば非常に便利なツールになると思う。
ちなみに午後8時から翌午前3時ごろまで最大光量にしてつけっぱなしにしておいたがバッテリーの残量は58%も残っていた。
つまり1度の充電で2日分の夜釣りは十分まかなえるということになる。
しかも5段階設定のうち最大の光量設定にした結果なので、最小にすれ3倍近くは持ちそうな気配だ。
最小設定でも身の回りは十分に明るく照らせるので長期使用の人はそっちの方がいいかもしれない。
夕飯をとりおえるとOKN氏はその場でフローティングベストを敷き寝てしまった。
平場がほんとうにどこにも存在しなく、どこへいっても尖った岩が突出しているので寝るのは一苦労だ。
ワタシはOKN氏が寝ているのを横目にマダイを狙うべく、カゴ釣りを再開した。
夜も深くなるとイサキは影を潜め、ウキにモゾモゾとおかしなアタリが頻発し付け餌が取られるようになったがなかなか針がかりしてくれない。
ウキが一瞬スッと引き込まれたかと思うとすぐにウキが浮いてくるようなアタリが連発しはじめた。
ウキが入った瞬間に竿を合わせてみると、これまでにはない妙な引き方をする魚がかかったようだ。
引きはないが、それなりに重量があり手前まで寄せてきたか思うと急にものすごい勢いで横に走りだした。
電気ウキが左方向に勢いよく移動し引っ張られる。
引きの弱い小型の魚がかかったものと勘違いしていたため竿を寝かせて巻いていたのだが、急な走りで竿が立てられず道糸がグーンと伸びたかと思うとスッと竿から重みが消えてしまった。
仕掛けをあげるとハリスがカッターで切られたように切られていた。
ワタシはそれを見てふと同じような引きをする魚を伊豆大島であげたことを思い出していた。
サビ(クロシビカマス)だ。
魚自体の重量はないものの横に走る性質と、鋭い歯でハリスを切っていく特徴が正に合致していた。
しかしあれだけの引きをみせたところを鑑みると恐らく50cm~60cmクラスの大型のサビだったことは容易に想像がつく。
その後はイサキがポツポツ釣れたがそれ以上の釣果は出なかった。
しばらくしてワタシもフローティングベストを背にして眠りについた。
深夜にOKN氏とワタシはムクッと起きだし釣りをしたもののイサキの猛攻の末、イサキ以外の釣果が望めず再度眠りについてしまった。
眠りにつくこと数時間、伊豆大島を眺める東側からうっすらと陽の光がさしはじめ、空と陽のグラデーションが鮮やかなオレンジ色に染まりはじめた。
帰りの渡船の迎えまでしばらく時間があったが、仕舞いに時間を要するため帰り支度を整え着地で渡船を待った。
5:00丁度に渡船が到着し我々は手石港へ帰港した。
大根を後にし、日が上ると一気に気温が盛り返す。
暑さと眠さを堪えて我々は帰路に着いた。
今回の沖磯釣行はキープできた釣果はイサキのみだったが、まさに“イサキ祭り”と言うべき豊漁結果だった。
さて旬のイサキの食味はいかほどか。
次はしっかり“横根”に行かねば・・・
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