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執筆者の写真籠師会

伊豆大島の夏は遠投カゴ釣りでカンパチを狙うのだ。



 “すでに釣具を宿に配送している”という連絡を受けたのが夏真っ盛りの7月終わりだったのだが、このクソ暑い時期に大荷物を背負って遠征する労力を考えたらそれは実にスマートな選択肢だったのだろう。


ただ140サイズの大荷物を離島まで送るとなるとそれなりに送料が発生するんだから楽を取るか節約を取るか迫られるわけね。


まぁワタシの場合荷物に傷をつけられるのも嫌だし、極力コンパクトにしてるから持っていくようにはしているんだけど、竿ケースだけ手にして颯爽とやってくるOKN氏を見ると毎度のごとく羨望の眼差しを向けては羨んでいたのであります。


ここまできたら竿ケースも送ってしまえば手ぶらで行けるというのに、なぜそうしないんだ!?えっ!おっ!って鼻息を荒くする人もいるんだろうけど、160サイズの竿ケースと釣具を2個口で送ったりしたら高速船の片道一人分くらいの送料になっちゃうじゃない。


DAIWAの竿ケースを片手に颯爽と現れたOKN氏と、ワタシとほぼ同じ装備(キャリー兼背負子)でやってきたミヤナガ氏と東海汽船の待合所で落ち合ったのが夜の9時半を回った頃だった。


今回は夜船(新さるびあ丸)で伊豆大島に向かい一泊して帰ってくるというお決まりの遠征釣行だ。







藍色と白のコントラストが美しい新さるびあ丸。


乗船客はそれなりに多かったが、この時期にありがちな席無し客で甲板が溢れかえるような熱気はなかった。







1区画8人収容できるであろう2等和室は3人で1区画8人分貸切状態だった。


この日は翌日のハードな釣りに備えてすぐに就寝した。







早朝岡田に着いた新さるびあ丸を降り、宿に向かう。


いつもは岡田で腕慣らしした後に磯に向かうという流れが多いのだが、この日はOKN氏の要望により朝から磯に直行という流れになった。


車を借りた我々はすぐに泉津にある地磯へと向かった。







磯場へアクセスできる停車場で車を止め、装備を降ろし磯場までの険しい崖を下っていく。







背い子を背負いながら夏場草木が生い茂る視界の悪い崖を下るのは非常につらいが、これを乗り切ればお魚の楽園が待っている。


この泉津の地磯は伊豆大島のなかでも入り辛い磯上位に食い込むが、それだけ魚影も濃いからモチベーションは否が応でも上がっていく。


車からすぐにアクセスしやすいオオツクロの地磯も魅力的ではあるが磯の高低差が激しく遠投カゴ釣りにはむかない。







OKN氏は奥の小島になっている場所からフカセを開始した。


イングラムリミテッドエディションのオレンジが彼のトレンドである。


手前には天然のイケスが点在しており釣れた魚はそこに放っておいて後で回収するようにしている。







手前の平坦な磯場から遠投カゴ釣りを開始するミヤナガ氏。


イングラムリミテッドエディションのレッドが彼のトレンドである。


この磯の面白さは投げる場所によって狙う魚種が変わるところで、ミヤナガ氏が投げる位置からはイサキがよく狙える。


また手前50mではイサキはあたらず70m以上投げてやらないとイサキの釣果はパッタリと出なくなる。


奥でフカセをしているOKN氏はポツポツとメジナをあげているようだが、見ているとなにやらメジナに混じって型の違う魚が・・・







塩焼きで美味しそうなショゴ(カンパチの幼魚)じゃないか!


やはり夏場はこいつが活発に動いているようだ。


ショゴをポツポツとあげているOKN氏を横目に、青物でアドバンテージのある遠投カゴ釣りでコイツをあげようと意気込んではみたもののワタシの竿にはイサキばかりが目に付く。







ちらっと左に目をやるとミヤナガ氏のイングラムがしなっている。


彼もイサキをあげているようだ。


お土産にイサキが確保できればあとは型をあげて色々な魚種を狙うのみである。


午前中は腕慣らしに良い具合にイサキが釣れてくれた。


遠投カゴ釣りは午前中イサキの釣果しか出ず、我々は磯場に荷物をごっそり置いて昼食を取りに向かった。







 昼食を取り終え、磯場に戻る我々。


磯に荷物を全て置いてくるという離れ業は波によって道具が流されたり、盗難にあったりという危機に全く対応できないが、人気のない磯ではその心配もない。


ワタシは昼食を取ったあと釣具屋で“きびなご”を購入しておいたのだがこれが後に奇跡の釣果を生もうとは夢にも思っていなかった。


午後釣りを開始してまもなく、奥の小島でフカセをしていたOKN氏がこちらへ戻ってきたのだが彼の様子を見るなりどうも嫌な予感がぬぐえなかった。


“またか・・・”という予想は的中し、その有様を目撃してしまった・・・







彼が竿を折った光景を目撃したのは何度目だろうか・・・


ダイワ メガディスという高級竿をおろしたてその日に折った記憶がよみがえってきた。


まぁ磯フカセ竿の竿先は折れる宿命にあるが、こうもポキポキ折れるのには竿ではない何かに原因があるのではないかと思っているのだがどうだろう・・・


タモを使わず抜き上げている現場をよく目にするから多分ソレじゃないかしら。


その後ONN氏はミヤナガ氏から磯竿を借りフカセ釣りを再開した。




 さてワタシはと言うとイサキのあたりに飽きてきたので午後から餌を“きびなご”に変更して無理やりカゴに詰めてぶん投げていたのだが、ウキにそれらしいアタリはないのに餌が取られるという現象に遭遇していた。


多少ウキにアタリが出てもいいものをフグでもかじっているのだろうか・・・


渋い状況だがアタリが出れば熱いのは確実だ。


仕掛けを長めに流してぼんやりしていると、前回の釣行で釣り上げてしまった磯居付きのウミガメが海面から顔を出したのでホッとしてしまった。


長い時間をかけてなんとか釣り上げて針を外し、その後が気になって心配していたが元気そうでよかった。


ウミガメが泳いでいる姿を見ながら感慨にひたっていると、急に遠くにあるウキがスポッと海中に引き込まれたのが見えた。


ついにきびなご餌に食いつく何かがあたったようだ。


竿を合わせるとググっと引き込まれるような重いアタリが竿にのった。


道糸が引っ張られながらも竿を立てて煽るとジリジリと手前に寄ってくる。


グレやイサキとは明らかに違う鋭い引きで、手前に寄せる途中何度も頭を振っては竿を持っていかれる。


様子を見ていたOKN氏もタモを用意してくれていた。


ようやくウキが見えると体高のある魚体がうっすらと見え始めたが急に磯の下に潜り込み最後の抵抗を始めた。


ハリスがどんどん磯下に入っていきハリス切れの恐れがあったので後は竿のパワーで魚を浮かせてやる。


観念して浮いてきた魚体に入る黒い線を見るなりそれはすぐにそれと分かった。







カンパチだ!


そこそこ大きめ(50cmくらい)だったからなかなかいい引きを楽しめたかな。


さていい流れになってきたぞ!と思って再開しようと思ったらきびなごがあと2匹しか残ってなかったのね・・・


残りのきびなごもぶん投げて長めに流してみたけどダメだったね。


その後は餌をオキアミに戻して狙ってみたもののカンパチがかかることはなかった。




 午後も順調にイサキとグレの釣果を伸ばしていたワタシの横でミヤナガ氏がこの日のために持ってきたというドローンを飛ばしはじめた。


小型のドローンだが高性能でカメラの画質も良く、安定性が高い。


後て映像を見せてもらったが我々が釣りをしていた磯の全貌が綺麗に映し出されていた。







動画のキャプチャなので画像が荒いが実際は綺麗に映っている。


海側からフカセをするOKN氏を映したキャプチャ。


良いサラシの中で釣りをしているのがよく分かる。







磯から仕掛けを投げようとしているワタシをとらえたキャプチャ。


後ろでドローンを操っているミヤナガ氏が映っている。


投げたウキを撮影してウキの入りを撮影しようとしたが、さすがにそれはかなわなかった。





 さてそんなこんなでその後も釣果を伸ばし続けた我々はお土産に十分な魚を確保して磯場から撤退した。







後日OKN氏から送られてきた釣果。


メジナ、イサキに加えて小ぶりのショゴとナンヨウカイワリが混じった。


朝からぶっ通しで釣りをしていたから夕食後に岡田で夜釣りもしたものの、さすがに疲れがまわったのか早々に引き上げてしまった。


岡田ではポツポツとイサキがあがっていた。


今回の釣行は季節らしい釣果に恵まれた豊漁釣果だった。





 持ち帰ったカンパチは是非とも刺身で食べようと捌いてみた。







見た感じ脂ものっていてほんのりと赤い白身が美味しそうだなと思って食べてみたんだけど・・・


“全然味しないっ”


熟成しなくとも多少は味気があって美味いと思っていたのに、見事に味気が無いのね。


なんかこう“ウリ”をかじってるかのような味気の無さね・・・



さて次は熟成用にまたカンパチをあげねば・・・・



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