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執筆者の写真籠師会

Liong Mah Design / リャン・マー というカスタムナイフメーカー。Warrior One V2レビュー。




チタンハンドルのナイフは軽量で剛性も高く、アウトドアユースでも非常に安心感を持って使用することが出来るのが魅力だ。


釣りにおいて海水に反応しないチタンの耐蝕性は非常にメリットが高く、数多く存在するハンドル材の中でも最も釣りに適したハンドル材といえるだろう。


しかしチタンを用いた製品群を得意とするファクトリーやカスタムメーカーは多いわけではない。


なぜなら加工の難度の高さ故、コンシューマー向けの製品として製造するにはコストがかかり過ぎるという点が大きいからだ。


無論チタンはファクトリーナイフの中ではハイスペックモデルにしか使用されず、ラインナップも限られていて、あまり選択肢がないのが難点と言える。


チタンハンドルを主としたラインナップを展開するファクトリーは有名なところでは、ZT(ゼロトレランス)、Kizer(カイザー)、CHRIS REEVE(クリスリーブ)、新興ではReate Knives(リアートナイブス)などがあげられる。


中でもZTはほぼすべてのラインナップにチタンを用いているファクトリーで、Kershaw(カーショウ)のタクティカルブランドとしてプロフェッショナル向けのラインナップを数多く展開しているのが特徴だ。


ただそういったラインナップはタクティカル色が強くなってしまって、アウトドアユースとしては少々毛色が違うのは間違いない。


わたし個人タクティカルやミリタリーといったものをナイフに求めておらず、あくまでもツールとして自分に寄り添ってくれるナイフを求めている。


そんな中有名どころのメーカーの陰でチタンを用いたナイフに特化したカスタムナイフメーカーと巡り合えたことは非常に喜ばしいことだったと言っていい。


Liong Mah Design/リャン・マーというカスタムナイフメーカーは米国のメーカーで、国内ではほとんど知られていないメーカーだが、高品質なチタン製ナイフを得意とする数少ないメーカーの一つである。


リャン・マーというのは中国人のナイフデザイナーの名前で、CRKT(コロンビアリバー)などでナイフのデザインを受け持っていた経歴の持ち主である。


リャン・マー氏がデザインしたナイフの多くはReate Knivesで製造されており、Reate Knivesの製品群を眺めて見ると価格設定が似通ったものが多い。


最初はコラボモデルやカスタムデザインとして製品化されていたラインナップしかなかったのだが、2010年の初頭あたりから自社のロゴをあしらったカスタム製品をラインナップするようになった。


わたしが最初に手に入れたのはLiong Mahの中でも最もベーシックなSDC(スリムデイリーキャリー)というモデルだったのだが、完成度の高さと、抜群の操作性の高さに驚かされたのを覚えている。





ナイフらしいナイフのデザインで、無駄の無いシンプルな中にも高性能さを内包させている。


フリッパータイプのナイフはオープンする際、手で押す部分のフィンガーガードの出っ張りが目に付くものなのだが、SDCはオープンした際フレームのボルスターにしっかりと収まってデザインを汚していない。





Kizer Alter Egoを見て見るとフィンガーガードの出っ張りが目に付き、ナイフとハンドルの一体感が無いように見える。


フィンガーガードとしての役割を果たすものだから、邪魔かと言われたら決してそんなことはないんだけど、SDCは美しいナイフの造形にこだわったリャン・マー氏の意匠が垣間見れる。





もちろんクローズしたときの出っ張りも極力出ないようにデザインされているから、フリッパーのくせにはじめて触った人は、これどうやって刃出すんだろうって一瞬戸惑ったりする。


人間工学に非常に則したデザインと、ナイフの美しさを併せ持ったSDCというナイフは“スリムデイリーキャリー=日々持ち歩く”という名にふさわしいナイフと言えるだろう。





さてそんなLiong Mah Designのナイフで最近もう1本気に入って手に入れたナイフを紹介したい。





Liong Mah Design Warrior One V2


Blade 85mm


Open 197mm


Blade Material CPM-S35VN


Handle Material 6AL4V Titanium 64


Weight 122g


Lock Flame Lock



SDCより若干小型で、ブレード形状はタントー(短刀)のようだが、カーブが均一で魚を捌く用途として非常に活用できそうな形状をしている。


先が鋭く、魚を〆る際にも活用でき、捌いた身を調理するのにも使いやすそうだ。





小型で使い勝手がよく、1本あれば裁きから料理までオールラウンドにこなせそうだ。


フィンガーガードが出っ張っているが、フレームの形状に流れるように沿ったデザインは違和感を感じさせない。


SDCのハンドルはザラザラとした表面処理がされているが、Warriorはツルツルとしたフラットな表面になっている。





オープンしたときにハンドルにすでにあったかのようにオープンするフィンガーガードのデザイン。


フィンガーチャンネルからフィンガーガード、そしてタングのラインを直線で結ぶことが出来る。





クローズしたときも直線的なデザインのこだわりは失っていない。


ハンドルの形状はしっかりとブレードの形状にあわせて計算されてつくられている。





ハンドルと同じくチタンのバックスペースが入る。





シンプルなフレームロックで、フィンガーチャンネルのロック部分に境目が見られるのは恐らく強度のある焼結パーツが用いられているためだろう。





SDCに比べてフリッパーの出っ張りが大きく、より軽い力でオープンすることができる。


力の入れ具合に関わらず確実にブレードがオープンするロックのかかり具合が絶妙だ。


軽くなぞるだけでシャキッとオープンし、SDCより操作性が高いように感じる。


オープンとクローズの間の引っ掛かりがなく、操作性は今まで使用してきたナイフの中でも群を抜いて高い。


SDCとはまた違った機能美があり、より細かい作業や頻繁にこなす作業に向いているように感じた。


毛色の違うモデルだが、あらためてLiong Mah Designの良さを痛感させられてしまった。


他のナイフに比べて存在感や豪華さという部分は全くないが、機能美に沿ったナイフの美しさや、手に持った時のツールとしての良さ、高級感は他のメーカーでは中々味わえない。


チタンハンドルのナイフを探している方がいたら是非ご一考ください。






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