伊豆大島に次いで離島でアクセスがいいのが初島だろう。
過去何度か釣行に行っているが、それなりに釣果が出るポイントだからこの時期の初島は否が応でも期待が膨らんでしまう。
今回は梅雨入りもあって、これから最盛を迎えるイサキをターゲットに初島に繰り出した。
オキアミの3kg板を2枚調達し、イマガワ氏を連れ熱海港の臨港駐車場に着いたのは17時少し手前だった。

その日の最終便に乗って夜釣りをし、翌日の朝イチの船に乗って帰るという宿無し夜通しパターンの釣りなのだが、最終便だとその日の釣りを終えた人達と入れ替わりになり場所取りがスムーズにいくことが多い。
第一堤防の白灯台下が空いていれば文句なしなのだが・・・・
船に乗りこみ場所取りの心配を残しつつ我々は初島へ向かった。

イルドバカンス3世号の甲板(屋上)にはダミーの舵が設置してある。
しかし船の名前は失礼な小学生がいたら、「ナニコレ変なの~」なんてことになりそうなネーミングなんだけど、イル・ドというのは(~の島)という意味のようで、つまりは“バカンス(休暇)の島”ということになるのかな。
ちなみにイル・ドというのはフランス語で、バカンスというのもフランス語だから、“イル・ド・フランス”をモジったネーミングなんだろうね。
英語だとアイランドオブバケーション号っていうネーミングになるから、あぁ・・・それならね・・・ってことなのかな。
しかし初島は1964年に高度成長期のレジャーブームにのって富士急アイランドリゾートなんて名売ってリゾート施設が乱立した時期もあったようだけど、この日船に乗り込んだ人数は我々も含めて約10名ほどだった。
さて微妙なうねりで若干船酔い気味でグロッキーになりながら到着寸前で堤防のポイントの様子をうかがった。
先端にはすでに人が入っているようだ・・・
堤防に着くと我々はすぐに第一堤防に向かい、堤防とテトラの付け根のポイントを確保した。
堤防にはテントが何個か設置されていた。
初島は地面にテントを張る野外テントは“禁止”と大々的に貼りだされているのにこのようなマナー違反を大胆に行う人間がいることが大いに疑問である。
見ればいい歳したおっさんだし・・
また初島で堤防釣りをする人間のマナーは悪いことが多く、この日も堤防の地面はコマセまみれ。
最終便だから自分の後には釣り人は入らないとでも思っているかのような惨事。
それにもまして堤防の鎖に堂々とゴミの入ったゴミ袋をくくりつけて放置しているという有り様。
初島は堤防の入り口付近にゴミ箱を設けているんだからそこに捨てればいいだけの話なのだが、そういうことも“手間”だと勘違いしているのだろうか。
初島が全面釣り禁止になってしまえば、我々は大きなポイントを失うことになるということに気づきもしない。
とりあえず我々は放置されたゴミをまとめ、コマセまみれの地を流し、釣りを開始した。
初島は時合がとにかく短い。
それもしっかりと朝マズメ・夕マズメの限られた時間にしか釣れない。
だからその時合を逃せばあとはタマに通り過ぎた呑気な魚を狙うという非常に効率の悪い釣りになってしまうのである。
17:20分の最終便に乗り、18:00頃に着いた我々は夕マズメの真っただ中という感じでせかせかと釣りの準備を開始した。
今回のタックルは
INGRAM BLACK EDITION 4-550 両軸
ABU BIGSHOOTER WM60
という手返しの速い連投タックルだ。
潮が早く、隣の釣り人との間隔も取れないためハリスも2ヒロと流す仕掛けではない。
道糸を濡らすため、軽く遠投していると2投目にして早くもウキがスッと引き込まれた。
ググっと竿に重みがのり、下に突っ込む。
手前にテトラがあるため竿であおって弱らせてから強引に寄せると、紺色の魚体が海面に浮いた。
抜き上げると、まぁまぁのサイズのメジナだった。
35cmといったところ。
このメジナが時合のスイッチだったのか、間もなくして先端の釣り人がイサキをあげた。
潮はかなりの速さで右から左に流れ、潮上である我々がオキアミを打てば打つほど潮下でイサキがかかる感じだ。
自分の右手にいるイマガワ氏がもっと手返しよくオキアミを打ってくれればよいのだが・・・・
メジナとイサキで堤防が沸きだしたのもつかの間で、時間にして20分程度の時合は一瞬にして過ぎ、その後は誰の竿にも魚がかかることはなかった。
夕マズメはこのメジナ1本という釣果となってしまった。
時合は過ぎたが、とぼけた魚がウキを沈めることを願ってその後も仕掛けを投げ続けたものの釣れるのはハタンポとネンブツダイのみ。
こうなってくると初島の夜釣りは不毛地帯と化す。
伊豆大島だと夜通し色々な魚が釣れるのだが、初島はほんとうに時合しか魚いませんよという具合だから早々にして堤防の釣り人は竿をたたみはじめていた。
しばらく粘っていた我々もしばらくして竿を置いてしまった。
寝床の無い我々は平らなポイントを探し、あてもなく初島を彷徨い始めた。

その際先端の堤防ではなく、鉄柵の間から遠投カゴ釣りをしていた人に釣果をうかがうことができたのだが、奥でやっている人が60クラスのマダイをあげたらしい。
うかがった人は何も出ていないとのことだったから、運よくマダイがかかったのだろう。
いや、だがしかしこのクラスのマダイ1匹でも来たかいがあったといっていいほどの羨ましい釣果である。
そんな情報を耳にしつつ、我々は堤防の枠になっている平場で仮眠をとりはじめた。

深夜になり我々は時刻にしてAM3:00ほどになって再度釣りを開始しはじめた。
自分の左隣のカゴ師のかたは一人夜通し粘って仕掛けを投げ続けていたようで、我々が釣りを開始する直前に意地でサバを1匹あげていた。
サバが連チャンすれば場も盛り上がるかと思ったが、やはり時合でない初島の夜は静かで、そのサバは1匹のみのハグレサバだったようだ。
全くウキが沈まないまま空がうっすらと明るくなりはじめ、陽が差し始めるとどこからともなく釣り人が現れはじめまた堤防に活気が出始めた。
そんなころ合いで、ワタシの右隣で粘っていたイマガワ氏の竿が大きくしなっていた。
「キタキタ~」
と今回ようやく魚らしい魚がかかりウキを沈めたイマガワ氏はがまかつの遠投竿を勢いよくあおっていた。
竿のパワーにもましてイマガワ氏の腕力の強さで強引に寄せられた魚体が海面に浮いてきた。
ワタシが昨日あげたメジナよりも明らかに一回り大きいメジナが浮いてきたかと思うとイマガワ氏はひょいっと竿をあおり40cmクラスのメジナを堤防に抜き上げてしまった。

45cmのクーラーボックスいっぱいの型のいいクチブト。
後で図ると40cmジャストといったところだった。
このグレが起爆剤となったのか、その後時間を置かずに先端でイサキがかかりはじめた。
我々もイサキを狙ったが、潮上でむなしくオキアミを撒くも速い潮がすぐに仕掛けを流してしまい、灯台から左前に遠投している潮と潮の境目にある仕掛けに敵うはずもなく釣果をあげることはできなかった。
そしてまた初島の短い時合は過ぎ、パッタリと誰の竿にもあたりはなくなってしまった。
すっかりと陽がのぼりきると、皆釣り竿をたたみ帰りの支度をはじめだした。
恐らく朝イチの船で熱海に戻る人がほとんどなのだろう。
しばらく粘っていた我々もしばらくして竿を仕舞った。
真っ先にイサキが食いついてくるワタシの仕掛けにイサキがかからなかったのはやはり潮とポイントがあっていなかったからだろうな・・・
第二堤防に行くという手もあったがポイントが遠く、先端も一人しか入れないから、今回はなんとも消化不良な釣果となってしまった。
しかし40cmのグレは恐らく第一堤防では最大の釣果だったことだろう。
次回は平日を狙って良いポイントを押さえるしかないな。
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