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執筆者の写真籠師会

シーフードミックスで魚は釣れるのか?伊豆大島で旬のイサキ釣り。70cm級の人面魚現る。




この時期(梅雨)のイサキが美味しいのは夏の産卵期を迎えた個体が脂肪を多く蓄え脂のノリが良くなるからである。







梅雨イサキなんて呼ばれるくらいだからそりゃもう臭みも無くて淡白で上品な身は他の魚を寄せ付けないレベルまで昇華されるわけなんですが、そんな魚をアホみたいにポンポン釣れる漁場が近くにあるというのは実に贅沢な話だ。


とあるページでは“究極の美味”なんて味の評価があるくらいだから、もういくしかないなと思っていた矢先、両軸遠投カゴ用の竿を新調したミヤナガ氏と予定があい、伊豆大島に向かう運びとなった。


前々からミヤナガ氏から新しく手に入れた竿の情報を耳にしてはいたもののリミテッドエディションということでなかなか手に入らない竿であるということに加え自分自身使っている釣り人を見たことが無いという珍しさもあって、釣りと関係なく拝見したいなとはおもっていたのだが。


6月はじめ、前日の天気予報を鑑みた結果夜のフェリーではなく当日朝イチの高速船に予定を変更したことは結果的に正解だった。


我々が高速船で向かう途中の雨が岡田に着いてみるとうそのような晴れ間になっていたから、早朝に着いても時間の無駄だったなとボーっと空を見上げていたのが午前10時である。


予定変更があって餌も何も用意せずに来たもんだからとりあえず籠師会常宿の八幡荘に荷物を預け、マルイチ釣具へと車を走らせた。


オキアミの3kg板を2枚にイサキ釣りに個人的に超おススメのマルキュー夜釣りパワー白とコマセ400gを購入し車へと積み込んだ。







この日南西風が強かった元町港は大荒れで、堤防の中ほどまで波をかぶっていた。


11時前後でまだ昼食には早い時間であったが、この時ミヤナガ氏はなぜか飢えに飢え、昼食を懇願してきたもんだから仕方なくマルイチついでに元町にある定食屋おともだちで昼食をとることにした。


ワタシほどの玄人伊豆大島通になるともはや定番のべっこう寿司・丼だとか海鮮丼だとか明日葉ラーメンなんてものには目もくれず黙って唐揚げ定食一択なのである。


漢は黙って唐揚げ定食。


もうね食べ飽きてんのこっちは、大島に来たって好きなもん食べんだかんね。


ミヤナガ氏は刺身定食を注文していたようだが、大島通と呼ばれるようになるにはまだまだ時間がかかりそうだ。




昼食を取り終え、我々は釣果の出る泉津の地磯へと向かった。


この知る人ぞ知る泉津の地磯の良さは急な崖を降りていくアクセスの悪さ故あまり釣り人がおらず人目を気にせずのんびりと釣りができるという点と、平場が多く両軸遠投カゴ釣りでも竿が振りやすいという点である。


もっと手前にオオツクロという車を停めたところから勾配のない道を10秒程度歩くとすぐに着いてしまうアクセスの良い地磯があるんだけど人入ってることが多いからね。


そう考えると我々が行こうとしている地磯は背負子が無ければまず降りれないし、年配の釣り人の方なんて行ったはいいけど戻ってこれないなんて片道切符的な磯なんだけど、毎度背負子の装備を甘く見ているミヤナガ氏にはかける言葉が無い。







地磯の入り口から崖を降るミヤナガ氏。


装備を全て手持ちで乗り切る彼の労力は想像を絶する。







キャリー兼背負子の装備も兼ね備えたオールインワン伊豆大島装備を背負うワタシ。


伊豆大島の過酷な地磯を過去幾度となくカバーしてきた。







左右から草が生い茂り、視界の悪いけもの道を下っていく。


手持ちのわりにワタシよりペースが早く、あっという間に前方にいた彼の姿が見えなくなってしまった。







しばらく急な勾配を下ると目指す地磯が姿を現す。


磯場に着くとミヤナガ氏は手前の平場で、ワタシは少し奥に行った平場で竿を出すことにした。


ここにきてようやくワタシはミヤナガ氏が新しく新調したという竿を目にすることができた。







赤い!


これが噂のNISSIN INGRAM RED EDITION 4-550 遠投両軸か。


リールもVIP PROJECT REDと全身を赤で纏った彼のタックルは実にクールである。


う~むこれは羨ましい。







あまりにクールだったのでちょっと借りてしまった。


ミヤナガ氏のクールなタックルを横目にワタシは地味で目立たない黒基調のタックルを準備しはじめた。


ワタシのタックルは


INGRAM BLACK EDITION 4-550


ABU BIGSHOOTER WM60



断続的な強い風が吹き、波もありなかなか釣り難度の高い状況だったが難儀しながら仕掛けを投入し始めた。


風の強さと共に雲行きが怪しくなり始めた。







しばらく仕掛けを繰り返し同じポイントに打っているとワタシのタックルに狙い通りイサキがあたりはじめた。


その後もポツポツとイサキが釣れ始めたので、型の良いものを天然のイケスに放って更なる型のアップを狙い仕掛けを連投した。







磯にできた天然のイケスにたまっていく型の良いイサキ。


左の青い魚はメジナではなくイスズミである。


ミヤナガ氏は磯での投げに難儀し、バックラスランプに悩まされつつもイサキをヒットさせていた。







レッドイングラムがしなる。


ちなみに彼がグローブをしているのは付餌のオキアミから出る“エビ汁”で手が荒れるのを防ぐためである。


その後も継続的にイサキは釣れ続け、お昼から4時間ほど粘り日の沈む手前でタックルを仕舞った。


まだ釣果が望めそうな気配だったが、本日のメインとなる夜釣り(マダイ・・・)に向け夕飯を取らねば。


我々はまたあの地獄の勾配を上り車へと戻った。


オキアミの重量は減って装備は軽くなったけど、魚が増えたからね・・・・






八幡荘に戻り早めの夕飯を取ると休憩する間もなく我々は岡田港に繰り出した。


我々は岡田に行く手前、夜釣り用にスーパーげんろくで“シーフードミックス”を調達していた。







前回岡田で遠投カゴ釣りの合間にイカの切り身を落としぶっこみ釣りをしたらギネス級のカサゴが釣れたもんだから、ここぞとばかりにイカの切り身を買いに行こうかと思ったのだが置いてなく、止む無く“シーフードミックス”になってしまったのだが。


アサリとムキエビにイカも入っているが原材料を見ると食塩と調味料も混ざってるようだが・・・果たしてこれで魚が釣れるのだろうか・・・・。


遠投カゴ釣りの餌に使ってカゴで投げたら何釣れるんだろうという好奇心を抱きつつ我々は岡田港へと向かった。






やはり両軸遠投カゴ釣りは堤防でこそ本領を発揮できるのね。


投げやすいからついついド遠投したくなっちゃうんだけど、ド遠投用に持ってきた剛弓と6500CS MAGは汚れるのが嫌で結局昼のタックルをそのまま使ってしまった。


なかなか出番がないな・・・


まだ明るいうちはイサキの気配はなかったが次第に暗くなり電気ウキに変えるころ合いになるとウキがスッと沈み小型のイサキがあたりはじめた。


一度あたりがで始めると群れが回っていているイサキは連チャンして釣れだすから面白い。


深めの棚で型を上げつつ、磯であげたイサキと同じ型のイサキも回り始めた。


さて昼からのイサキの連チャンに飽き始めていたワタシは例の“シーフードミックス”からカゴの1/3(直径7cm)もあろうかという大きめのエビを取り出し針にチョンがけして無理やりカゴに押し込んで投げ始めた。


ミヤナガ氏はワタシが“シーフードミックス”を使い始めるのを横目にぶっこみ釣りのタックルをつくりはじめたようだ。


あんなデカいエビに食ってくる魚はどう考えたって大物だろうという安易な考えだったが、いざウキの反応を見守っていると期待感は否が応でも膨らんでくる。


大物が食いつくまでしばらく仕掛けを流そうと考えていたワタシの予測は外れ、投入してから時間を置かずスッとウキが海中に引き込まれた。


キタ!これは大物に違いない。


ワタシは大げさに合わせを入れて竿をあおったが期待のわりに重量がのらない・・・


しかしあんなデカいエビに食ってきたというのに、この軽さはなんなんだ。


ミヤナガ氏とワタシは逆に期待感を寄せつつも食ってきた謎の魚が次第に上がってくるを見て驚嘆してしまった。


それはオキアミで普通に釣れるイサキだったからである。


見るとイサキは口いっぱいにシーフードミックスのエビが詰まり、気道閉鎖によって窒息死しを招き息絶えていた。


いや窒息死かどうかは定かではないが、よくもまぁあんなデカいエビを飲み込んだものである。


我々はその恐るべしイサキの貪欲さに畏怖の念を抱き始めていた。


両軸遠投カゴ釣りの付餌を“シーフードミックスのエビ”にしてもイサキが釣れるということが判明したが多分わざわざ使う人はいまい。


その後アサリとイカも試したがアタリはなかった。





さてそうこうしているうちにぶっこみ釣りのタックルが完成し、いつものように堤防の際に落としていたのだがなかなか魚らしい反応が竿先に現れない。


遠投カゴ釣りの合間にという感じでチラチラみていたが一向に反応が無いので、餌をイカから先ほどイサキが食ってきたエビに変更し落とすとしばらくして竿先にピクン・ピクンとつつくような反応が見られた。


ワタシがあわせてかけようと思ったが、過去の大物実績を考えればミヤナガ氏が合わせたほうが確率的にも妥当だろうと考えミヤナガ氏にタックルを託した。


いよいよ反応が大きくなるとミヤナガ氏が大きく合わせをいれた。


次の瞬間竿が大きくしなり何か大物がかかった。


さすがミヤナガ氏・・・・大物を寄せ付ける何かを持っている・・・前回の特大カサゴといい、特大ハギといい・・・。


竿先は堤防の位置よりも下に突っ込み竿は弓のごとく曲がり、ミヤナガ氏はジリジリとリールを巻きつつ大物の引きに耐えていた。


その大物は重量はあるが暴れたり走ったりする素振りはなく、重たい石をリールで巻いているかのような感触で次第に海面へと姿を現した。


タモを用意していなかったわたしは見えてきた魚を抜き上げようかと思ったが、とてもじゃないが抜き上げられるような重量感ではなくすぐさまタモを用意しはじめた。


その間ミヤナガ氏は海面でうごめく大物と耐えていた。


ようやくタモが完成し、魚をタモに入れるとその大物の全容が姿を現した。







デカッ、、重ッ、、気持ち悪ッ。


口から人歯出てるし、目とか耳とかもう人面魚だよねこれ・・・ヒェッ。


あがってきたのは70cmもあろうかという巨大なイシガキフグだった。


どこかで食うと美味いという話も聞いたことがあるが、デカすぎて持って帰れないし、なんか可哀そうだしどうしよう・・・・


よく見ると針は口の皮ギリギリ一枚でかかっていた。


ワタシは針を外し、そのイシガキフグをすぐさま海に放した。


この大きさになるまで何年もの歳月がかかっていることだろうし、美味しく食べれる方法も知らないからね。


海面でジタバタしていたが、元気よく海の底に潜っていった。


我々は興奮冷めやらぬまま、次の仕掛けを投入するがその後ぶっこみに食ってくる魚は無かった。


午後11時頃、しばらく遠投カゴ釣りを粘っていたが、周りの釣り人もパタパタと姿を消していく時分に我々もタックルを仕舞った。


今回の釣行もミヤナガ氏が大きい釣果を持っていく結果となったが、全体的に見ればイサキの釣果にも恵まれ満足のいく結果となった。




八幡荘に戻り朝から一度も休憩を取らずノンストップで釣りをし疲れ切っていた我々はバタッと倒れるように眠りについた。


さて産地から直送した旬のイサキをどう調理するか楽しみだ。









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